2012年2月26日日曜日

2013年の映画祭に向けて動いています

次回のアムネスティ・フィルム・フェスティバルは2013年1月開催予定です。

それに向けて、上映候補となった作品の試写を始めました。
これから夏まで、月に1~2回のペースで、週末に試写をしていきます。

試写は1日3本か4本の映画を観て、観たあとに感想を書きとめ、全体で話し合うのが通常です。
事務所のいすは映画館のようにゆったり座れるタイプではないので、ちょっと(かなり?)疲労度が高いですね。

アムネスティの事務所は、去年の春に引っ越しをしました。
前の場所から今のビルはそれほど離れていなくて、ほぼ同じ駅を利用します。
以前はミーティングのスペースが区切られていたのですが、今の事務所は簡単なパーテーションだけなので、試写するのにまだしっくりきません。
なので、時にはほかの公共の会議室も借りて試写する予定です。

次回の試写は3月下旬。

「アムネスティ・フィルム・フェスティバルでこんな映画をやってほしい」
「映画祭のボランティアに参加したいけど」
など、メールは

film@amnesty.or.jp

まで送ってくださいね。
お待ちしています。

2011年1月30日日曜日

ご来場ありがとうございます

昨日はたくさんの皆様にご来場いただき、ありがとうございます。

本日の上映作品は、「BOY A」「ハーヴェイ・ミルク」「何でも聞いてみよう」「TOKYOアイヌ」です。


「BOY A」は、罪を償って戻ってきた人を社会がどう受け止めるかを描いています。

イギリスの田舎町が舞台で、社会に戻ってくる元・犯罪者にはソーシャルワーカーが住まいの世話から日常の相談事まで、親子同然に対応しています。

日本で似たような仕事をしているのが、保護司やソーシャルワーカーなのでしょう。

ただ、親密度というか、個人としてのケアの度合いはかなり違っています。


「BOY A」は11:00からの上映です。

また、午後には「TOKYOアイヌ」の上映前に、アイヌの歌と踊りをお楽しみください。
スタッフ一同、皆様のお越しをお待ちいたしております。
当日券もご用意がありますので、直接ヤクルトホールにご来場ください。

2011年1月29日土曜日

開催です

いよいよ開催日となりました。

当日券もご用意しております。ぜひ、お越しください。

本日の映画祭では、難民をテーマに、ビルマ難民のマリップ・センブさんと弁護士の渡邉彰悟さんが対談します。

「日本にも難民はいるんですか?」



<対談>
渡邉彰悟さん(弁護士・全国難民弁護団連絡会事務局長)
×  マリップ・センブさん(ビルマ難民/カチン民族機構日本事務局長)



前回2009年の映画祭では、死刑をテーマにした森達也さんと免田栄さんの対談が大盛況でした。
森達也さんはオウム真理教の「A3」が発売されたばかりですね。書店でもトップの売れ行きのようです。

2010年12月30日木曜日

日本に難民はいるんですか

アムネスティ・フィルム・フェスティバル2011では、スイスの難民受け入れ施設を描いた『要塞』を上映します。
故国を離れ、世界中からやってくる亡命希望者たちと、申請の受け入れ可否を判断する施設職員とのやりとりを通して、彼らが生きてきた社会の一端をかいま見ることになります。

そして、上映のあとには、


「日本にも難民はいるんですか?」



と題した対談を行い、私たちの近くにいる難民について考えてみたいと思います。


全国難民弁護団連絡会事務局長であり、弁護士の渡邉彰悟さんと、ビルマ難民のマリップ・センブさんの対談です。
マリップ・センブさんは「カチン民族機構」の日本事務局長でもあります。

「カチン民族機構」はビルマにおける少数民族カチン族の実情を国内外に発信しています。日本には約400人のカチン族が住んでいるそうです。
国連が推奨している第三国定住制度によって2010年、日本にやってきたビルマ難民も少数民族でした。
ビルマの主要な問題は少数民族への人権侵害です。
『ビルマVJ 消された革命』は民主化を求める人々に焦点を当てていますが、もし民主化が実現したとしても、少数民族の問題が解決されるとは限りません。

 
映画と対談を通して、私たちの身近にいるはずの難民を知り、何ができるのかを考えるきっかけになるのではないでしょうか。
 
映画『要塞』は29日14:30、対談は16:35 からです。
『ビルマVJ 消された革命』は29日11:00。
 

2010年12月14日火曜日

『BOY A』 犯罪者は変われるか

前回はイベントの紹介をしました。今日は、2日目の最初に上映する『BOY A』についてです。



いつだったか、更生施設建設反対運動のニュースの流れで、矯正施設のボランティアをする女性たちのリポートを、テレビで見たことがあります。


「最初は別世界の人間のようで怖かった。でも、自分の子どもと同じくらいの少年たちと接するうちに、彼らなりの理由があって罪を犯したのであり、元から悪い子ではなかったはずだと思うようになった」。そんなようなことを彼女たちは言っていました。
見知らぬ他人だった犯罪者が、言葉を交わし、視線を合わせ、心を通わす「○○くん」になった。相手を知り、時間がたつにしたがって、彼らを受け入れる準備が出来ていったのでしょう。


私たちが犯罪者を知るとき、ほとんどが「残虐な」「むごたらしい」という形容とともにあります。少なくともマスメディアに、同情的な報道は皆無です。犯罪者が社会に戻ってくるときも、その印象のまま戻ってくると私たちは考えがちです。本当にそれは正しいのでしょうか。

罪を犯した人が社会に戻ってくるまでには長い時間があります。その年月のあいだにさまざまな人との関わりがあり、環境が変われば人間も変わります。そして、生き直し。新しい人生を見守ってくれるソーシャルワーカーの存在もあります。


さて、もし自身の親しい友人が、そのむかし罪を犯し、「悪魔の少年」として世間を震撼させたと知ったらどうですか。いつも隣にいる友が、以前は別の人間だったら。

 
(WE)

2010年12月7日火曜日

心ふるえるアイヌの響き

第3回アムネスティ・フィルム・フェスティバルの開催まで2か月を切りました。
ここで、イベントのご案内をいたします。

来年1月30日、アムネスティの映画祭のラストを飾るのは、首都圏に暮らすアイヌ民族を描いた『TOKYOアイヌ』です。
そして同時に、アイヌの人たちが直接、彼らの音を届けてくれることになりました!
ライブで接する声と演奏は、記録された映像とはまた違った味わいがあります。


◆こころを揺らすアイヌ語の響き、ウポポ(歌)とカムイユカを聴く◆

出演

弓野恵子さん(東京アイヌ協会副会長)

  ムックリの演奏とカムイユカ(アイヌの神謡)の一節より


 ムックリ: アイヌの民族楽器で、竹でつくった口琴。
 カムイユカ: 神々に起った出来事を語り伝えた物語りうた。


島田あけみさん(アイヌウタリ連絡会事務局)

  「アイヌ ネノアン アイヌ」(人間らしい人間)

  (作詞・作曲 鷲谷サト / 補筆 萱野茂 )

   
 多くの日本人は初めて、この映画『TOKYOアイヌ』の中で、首都圏で日々を暮らしながら、この列島の先住民族として復権を求める、同時代の隣人たち=アイヌに出会うことでしょう。

アイヌとは人間という意味。
楽しそうにアイヌの料理を作り、刺繍をし、歌を歌い、踊るアイヌたち。
一方で、無理やり連行され、あるいは差別を逃れるために、あるいは就学就職のために上京し、マジョリティーの無関心の中で、首都圏で亡くなっていった先祖や仲間たちを厳かに供養し、カムイと交信する人たち……。

今回出演してくださるのは、映画にも登場する弓野恵子さんと島田あけみさんのお二人。

島田さんが歌う「アイヌ ネノアン アイヌ(人間らしい人間)」は、首都圏のアイヌ復権運動の草分けの一人、故・鷲谷サトさん(1926年~2001年)が作詞・作曲した歌です。

困難を乗り越え、すべての人とともに歩きたいという願いが、首都圏アイヌのウポポ(歌)として、新しく伝承され始めたものです。

映像と併せ、お二人のアイヌ語の響きに、ぜひ耳を傾けてみてください。

2010年10月28日木曜日

映画で見る人権のちょっと深いとこ

映画祭ボランティアを始めてから、映画好きの友人に会ったときに聞く質問がひとつ増えました。「“人権”って言って思い出す映画、ない?」

そんな中で友人のひとりが急に熱く語りだした映画、『白いカラス』(ロバート・ベントン監督、2003年)。黒人の両親から生まれた、白人の容貌をした男の話。その設定だけでも十分興味深いのですが、ストーリーは、白人として生きることを選び、社会的地位を築いた男が、黒人差別発言で地位を追われるところから始まります。

映画の中で、男がまだ若い頃、つきあっている白人女性と、結婚を前提に男の実家に挨拶に行きます。玄関を開けて黒人の母親が出てきたときの女性の引きつった笑顔。普段はまったく意識しなかった自分の中の差別心を暴かれる衝撃。本人は傷つけるつもりがなくても、その人の中にまるで常識のように根深く染み付いた差別意識が大切な人を傷つける、そんなことにハッと気づかされる映画だった、と友人は教えてくれました。


そんな自分の中のものの見方を、ちょっと広げてくれる映画をもう1本。11月公開の『スプリング・フィーバー』(ロウ・イエ監督、2009年)は、バイセクシャル、ホモセクシャル、ヘテロセクシャルの男女5人の人間関係を激変する現代中国を舞台にみずみずしく描いた傑作です。












昨年の東京フィルメックスで上映されたときは「男同士の激しい濡れ場」として話題になっていたようですが、3人の男性登場人物がそれぞれ違った形で求めているセックスを含めた人間関係を、ぜひ丁寧に追ってみてください。ときに自分自身のことでさえも分からなくなる人間の複雑さ、曖昧さ。その上で、他者を理解することの難しさ、それでも関わろうとするのはなぜか。「純粋なラブストーリーです」という監督のコメントが沁みます。「人権」を考えるときに、そのベースに何をおくか、とても考えさせられた1本です。












写真はすべて『スプリング・フィーバー』

『スプリング・フィーバー』
2010年11月6日(土)より渋谷シネマライズほか、全国順次公開


公式サイト 
http://www.uplink.co.jp/springfever/


(N)